その少年の名は百音(もね)。正体は男装した美少女だった――。
「なにものにも縛られず、自由に文學(ぶんがく)を愛する」、それが文學倶楽部。だが、その倶楽部は女人禁制であった――。「女」の自由に制約があった時代、なにをするにも「女のくせに」と咎められていた時代。幼い頃から読書を好み、本を愛し、文章を書く喜びを知っていた少女・百音(もね)は、長い髪をばっさりと切り、男物の服を着て倶楽部の門を叩いた。「頼もう、僕を文學倶楽部に入れてほしい」……。正体を隠し、仲間を裏切りながらも、自分の夢に向かってまっすぐ進んでいく”文學ガール”! 笑顔、苦悩、喜び、不安……、思春期のくるくる変わる少女の表情を鮮やかな筆致で描き上げる、俊英・天乃タカの最新作!